机上の戦略が現場で動かない理由――パートナーセールス、最初に向き合うべき”運用の重力”
by user
本記事は 葛西 了太 の寄稿によるものです。
皆さん、こんにちは。パートナーセールス研究会の葛西です。
研究会には現在、SaaSメーカーのパートナーセールス担当者を中心に600名近い方が集まってくださっています。月1回のオフライン会、Facebookグループでの日々のやり取り。そこで毎週のように耳にするのが、「戦略はあるんです。ただ、現場が動かないんです」という声です。
正直に言うと、私自身がそうでした
2021年にHRMOS事業部でパートナーセールスを担当した当初、契約パートナー数は150〜200社。立派な数字に見えますが、月の商談数は3〜5件。机上のパイプラインと現場の数字が、これほどまでに乖離するのかと愕然としたのを今でも覚えています。営業資料はパンフレット1枚。パートナーカルテは存在せず、誰がどの企業の何を扱っているのかも分からない。恥ずかしながら、当時はその程度の状態でした。
机上の戦略と現場運用のギャップは、たいていの場合、担当者の能力不足ではなく「設計の抜け」から生まれます。私が研究会の議論を通じて確信しているのは、ギャップを生む共通構造が三つあるということです。
共通構造①:「契約したら動いてくれる」という前提

これは完全に夢物語で、パートナー企業にとってあなたのプロダクトは”扱える商材の一つ”でしかありません。優先順位を上げてもらう仕掛けを設計に組み込まなければ、契約書はただの紙です。
共通構造②:フェーズに合わないKPI
立ち上げ期に「受注数」を追っても、商談すら起きていなければ意味がありません。フェーズごとに見る指標を切り替える設計が要ります。
- 初期:商談実施に至ったパートナー数
- オンボーディング期:接点数と紹介案件数
- 成熟期:MRRとチャーン
同じKPIを使い回すから、現場は「無理ゲー」と感じて手が止まるのです。
共通構造③:社内の直販部門との接続が後回し
バッティングルール、共有ルール、エスカレーションのライン。これらが曖昧なまま現場に号令をかけても、パートナー営業から「で、結局どうすればいいんですか?」と返ってくるだけです。
三点セットで「動く戦略」になる
逆に言えば、この三点を初期設計に織り込むだけで、現場の動き方は驚くほど変わります。私が大切にしているのは「Give・Give・Give」の姿勢ですが、この精神論が機能するのも、運用の土台があってこそです。
- パートナーカルテで相手の事情を可視化
- フェーズに合ったKPIで現場の打ち手を絞り込み
- 社内ルールで迷いを消す
この三点セットが揃って初めて、戦略は”動く戦略”になります。
現場が動かないのは、現場のせいではない
研究会で全国のパートナーセールスの皆さんと議論を重ねるほど、悩みの形は驚くほど似ていると感じます。だからこそ言えるのは、現場が動かないのは現場のせいではない、ということです。机上の戦略を現場の重力に合わせてチューニングする。その設計に、もっと時間を使っていい。私はそう思っています。
PS顧問ドットコムで支援したいこと
研究会で全国の皆さんと議論を重ねるほど、悩みの形は驚くほど似ていると感じます。だからこそ、私が顧問ドットコムでお手伝いしたいのは、「机上の戦略を現場の重力に合わせてチューニングする設計」です。
具体的には、フェーズに応じたKPIの組み立て直し、パートナーカルテの設計と運用、社内直販部門との接続ルール作り、Give・Give・Giveを精神論で終わらせない仕組み化。HRMOS時代の自分自身の悲劇(150〜200社契約あって月商談3〜5件)から学んだ落とし穴も含めて、現場が動き出す設計を一緒に組み直します。
「戦略はあるが現場が動かない」「コミュニティで聞く成功事例が、自社にハマらない」と感じている方の最初の壁打ち相手になれれば嬉しいです。