AI Enablement企業で1期目のパートナーセールスをゼロから立ち上げた時、最初にやった3つのこと
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本記事は 井上 慎也 の寄稿によるものです。
「パートナーセールスをイチから立ち上げてほしい」
その一言で始まりました。AI Enablement企業で1期目のパートナーセールス立ち上げ責任者になったのは、ちょうどChatGPTという大きなムーブメントが起きようとしていた、まさにその時期です。
これまでのパートナーセールスの経験を買われて声をかけてもらいましたが、生成AIのムーブメントが本当に定着するかどうかすら、まだ誰にもわからない時期でした。その不確実性の中で、1期目のパートナーチャネルをゼロから立ち上げる。今振り返っても、立ち上げ初期の90日でやったことが、その後の数字感を決めたと思っています。
① 経営メンバーと「立ち上げまでの時間軸」をきちんと握る
意外に思われるかもしれません。立ち上げ責任者として乗り込んだら、普通はパートナー候補のリストアップから着手したくなる。実際、私もそう考えました。
でも最初にやるべきは、経営との時間軸の合意でした。
パートナーセールスの「垂直立ち上げ」は夢物語に近い
パートナーセールスは、社内の営業組織のように「採用して教育すれば1〜2ヶ月で立ち上がる」性質のものではありません。協業先を見つけ、信頼関係をつくり、相手の営業現場に自社プロダクトが乗るまでには、どうしても時間がかかる。
ここの時間軸を見誤ると、経営との期待ギャップが生まれ、展開そのものに厳しい判断を迫られます。だから最初にやったのは、いつまでにどういう状態にするのかを明文化したロードマップを引き、経営メンバーと共通認識をつくること。地味ですが、これがなければ、その後の2つも意味を持ちませんでした。
② パートナープログラムは「パートナー様の視点」を前提に設計する
パートナープログラムを設計するときに大前提となるのは、パートナー様にとってメリットがある状態をきちんとつくることです。
そもそもパートナーセールスは、自社のセールスでは届かないお客様に対して、パートナー様のお力を借りる仕組みです。つまり主語が常に自社に向いていると、基本的にはうまくいかない。
「自社の都合」ではなく「パートナーの顧客基盤とリソース」から逆算する
ついやってしまうのが、自社のレベニュー目標から逆算してインセンティブやノルマを切ることです。それでは、パートナー様にとって「やる理由」が残らない。
私が意識したのは、パートナー様の既存顧客基盤と、現場のリソースを起点に設計すること。先方の営業担当者が、どんな会話の流れで自社プロダクトを差し出せるのか。そこから逆算してプログラムを組むと、机上で綺麗な設計より、はるかに動くものができました。
③ どんなことも、とにかく「わかりやすく」
パートナープログラムの資料、実際のパートナー様へのサービス説明、商談同席時の立ち振る舞い。すべてに共通して心がけていたのは、お客様の頭の中に?(はてなマーク)を絶対に出さないことでした。
横文字を使わない。生成AIの最新トレンドを難しい言葉で語らない。みんなが知っている言葉で、メリットもデメリットも語りかける。
「好きになってもらう」ところまで含めて設計する
そしてもう一つ大事なのは、自分を好きになってもらうことだと思っています。相手が好むタイプをきちんと演じることも含めて、お打ち合わせの一回一回を意識する。
こうした細かな気配りは、パートナー様のセールス担当の方が、自社プロダクトに最初に向ける熱量やその第一想起に、想像以上に大きく効いてきます。
パートナーセールスは協業する先によりますが、見栄えを重視するよりも、相手のことをどれだけ考え抜いて、地道な活動をどれだけ積めるかで決まります。これはかっこいい机上の戦略では到達できず、泥臭い活動量の先にだけ見えてくるものでした。それをとにかく徹底しました。
パートナーチャネル立ち上げは「見栄えのする戦略」より「地味な順序」
優先順位の理由はシンプルで、パートナーセールスは「相手の文脈にどう乗るか」が勝負だからです。
- 経営との時間軸を最初に合わせる
- 自社の都合ではなく、パートナー様のメリットから設計する
- かっこよさより、わかりやすさと地道さを徹底する
立ち上げで悩んでいる事業責任者の方には、見栄えのする「戦略」よりも、こうした地味な順序のほうが効くことを伝えたいと思っています。
PS顧問ドットコムで支援したいこと
AI Enablement企業での1期目パートナーセールスの立ち上げも含めての複数社の経験が私のコアです。
パートナーチャネルの立ち上げは、各ベンダーのフェーズや、協業する先の事業領域によって、まさに100社100通りになると思っています。教科書通りの正解はありません。だからこそ、成功事例だけでなく失敗事例——特に失敗事例を数多く知っていることが、立ち上げ支援の強みになり得ると考えています。
「何を、どこから手をつければいいかわからない」というベンダーさんの羅針盤になれたらと考えています。さらに、必要であればBPOとして実務レベルまで泥臭く入り込んでご支援できるのも、私の強みです。
私の思いはシンプルで、「パートナーセールスが立ち上がらないまま終わってしまうベンダーをなくす」こと。これまで貯めてきた知見を、皆様のパートナーチャネル立ち上げにそのまま活かしていきたいと思っています。